かつてセブン-イレブンは、ただ商品を買う場所ではありませんでした。
昼休みにふらっと立ち寄る。特に買うものがなくても店内を見てしまう。新商品を見つけると、つい手に取ってしまう。
このような行動の背景には、セブン-イレブンを大きく成長させた鈴木敏文氏の経営哲学がありました。
鈴木敏文氏が重視したのは、「顧客のために」ではなく「顧客の立場で」考えることです。単に安い商品を並べるのではなく、消費者が無意識に足を運びたくなる売り場や体験を作ることに力を入れてきました。
しかし近年、セブン-イレブンに対して以前ほどのワクワク感を感じにくくなったという声もあります。
一方で、目的がなくてもつい立ち寄ってしまう店として、ドン・キホーテの存在感が高まっています。
この記事では、鈴木敏文氏の経営哲学を手がかりに、セブン-イレブンの現在地と、ドン・キホーテに感じる新たな魅力について考えていきます。
そこで今回は、
鈴木敏文が築いたセブン-イレブンの強さとは
鈴木敏文から考えるセブン-イレブンの現在地と薄れつつあるワクワク感
ドン・キホーテに感じる新たな魅力
3つの観点から迫っていきましょう。
それでは、早速本題に入っていきます。
鈴木敏文が築いたセブン-イレブンの強さとは

セブン-イレブンの強さは、単に商品数が多いことや、店舗数が多いことだけではありません。
本当の強みは、消費者の日常の中に自然に入り込む力にありました。
スーパーに行けば安く買える商品であっても、私たちはコンビニで買ってしまうことがあります。飲み物、おにぎり、弁当、スイーツ、日用品など、価格だけで見ればスーパーやディスカウントストアの方が有利な商品は少なくありません。
それでもセブン-イレブンで買う理由は、便利さだけでは説明できません。
そこには、「いつもの店だから安心できる」「すぐ買える」「新商品がありそう」「買い物に迷わなくて済む」といった顧客体験があります。
鈴木敏文氏は、消費者の行動を深く観察し、売る側の都合ではなく、買う側の心理を重視しました。
「顧客のために」ではなく「顧客の立場で」考えるという言葉は、セブン-イレブンの経営哲学を象徴するものです。
企業側が「これは良い商品だから売れるはずだ」と考えるのではなく、消費者がどのタイミングで、どんな気持ちで、何を求めて店に来るのかを徹底的に考える。
この視点があったからこそ、セブン-イレブンは単なるコンビニではなく、「つい寄ってしまう場所」として支持されてきたのです。
鈴木敏文から考えるセブン-イレブンの現在地と薄れつつあるワクワク感

一方で、現在のセブン-イレブンに対して、以前ほどの新鮮さを感じにくくなった人もいるのではないでしょうか。
もちろん、セブン-イレブンはいまもコンビニ業界を代表する存在です。弁当、総菜、冷凍食品、スイーツ、コーヒーなど、商品力の高さは現在も大きな魅力です。
しかし、店舗体験という意味では、かつてのような「何か面白いものがありそう」という期待感が弱まっているようにも感じられます。
理由の一つは、効率化と均質化が進んだことです。
どの店舗に行っても一定の品質の商品があり、一定のサービスが受けられる。これは大きな強みです。しかしその反面、偶然の発見や驚きは生まれにくくなります。
店内が整いすぎていることで、買い物は便利になります。しかし、目的もなく店内を歩き回る楽しさは薄れてしまうことがあります。
かつてのセブン-イレブンには、新商品を見つける楽しさや、棚の変化を感じる面白さがありました。
消費者は商品そのものだけでなく、「発見する体験」にも価値を感じていたのです。
現在のセブン-イレブンは、便利で完成度の高い店である一方、予定外の買い物をしたくなるような刺激は以前より少なくなっているのかもしれません。
これは、セブン-イレブンが弱くなったというよりも、消費者が求める体験価値が変化していると見るべきでしょう。
ドン・キホーテに感じる新たな魅力

セブン-イレブンが効率的で整った店舗体験を提供しているのに対し、ドン・キホーテはまったく異なる魅力を持っています。
ドン・キホーテの店内は、一見すると雑然としています。
商品が所狭しと並び、派手なPOPが目に入り、通路にはさまざまなジャンルの商品があふれています。
どこに何があるのか分かりにくいと感じることもあります。
しかし、この分かりにくさこそが、ドン・キホーテの魅力でもあります。
目的の商品だけを買ってすぐ帰るのではなく、店内を歩いているうちに思わぬ商品に出会う。買う予定のなかったものを見つけて、つい手に取ってしまう。
この「偶然の発見」が、ドン・キホーテの大きな強みです。
ドン・キホーテは、単に安い店ではありません。価格の安さに加えて、非日常感や宝探しのような楽しさを提供しています。
たとえば、ミネラルウォーター1本を買うだけのつもりで入店したのに、気づけば食品、日用品、家電、衣料品、雑貨まで見て回っている。
こうした行動は、ドン・キホーテが消費者に強い体験価値を提供している証拠です。
セブン-イレブンが「便利で安心できる日常の店」だとすれば、ドン・キホーテは「予想外の発見がある非日常の店」といえます。
現代の消費者は、安さだけで店を選んでいるわけではありません。
便利さ、安心感、楽しさ、発見、刺激。こうした体験全体に価値を感じています。
その意味で、かつてセブン-イレブンが持っていた「つい寄ってしまう力」は、今ではドン・キホーテの方に強く感じられる場面も増えているのではないでしょうか。
まとめ
鈴木敏文氏が築いたセブン-イレブンの強さは、「顧客の立場で考える」という徹底した経営哲学にありました。
消費者は、単に商品を買っているのではありません。安心感、便利さ、発見、満足感といった体験に価値を感じています。
かつてのセブン-イレブンは、日常の中に小さな驚きや楽しさを提供することで、多くの人を引き寄せてきました。
しかし現在は、店舗の効率化や均質化が進んだことで、以前ほどのワクワク感を感じにくくなっている面もあります。
一方で、ドン・キホーテは、雑然とした売り場や圧倒的な商品量によって、宝探しのような買い物体験を生み出しています。
セブン-イレブンとドン・キホーテの違いから見えてくるのは、これからの小売業に必要なのは、単なる価格競争ではなく、顧客の心を動かす体験価値だということです。
鈴木敏文氏の「顧客の立場で考える」という言葉は、今なお小売業やビジネス全体にとって重要なヒントを与えてくれます。
そしてその視点で見ると、セブン-イレブンの現在地と、ドン・キホーテの新たな魅力がよりはっきりと見えてくるのです。
それでは、ありがとうございました!

コメント