厚生年金「被保険者」の基本と2026年最新改正

厚生年金の被保険者って、結局だれが対象なの?」「退職した月の保険料はどうなる?」など、実務や試験勉強で疑問に思うことは多いですよね。

日本の年金制度は、すべての働く人を幅広くカバーする方向へ向かっており、ここ数年でも重要な法改正が次々と実施されています。

この記事では、厚生年金保険の被保険者に関する基本ルールを3つの章で分かりやすく整理しました。

後半には理解度チェックのためのクイズも用意しています。2026年の最新トレンドも合わせて、サクッと理解していきましょう!

目次

法人は1人でも強制!厚生年金の「適用事業所」

厚生年金に加入しなければならない職場を「強制適用事業所」と呼びます。

まずはこの基本となる基準を正確に押さえましょう。

法人の場合

従業員の人数にかかわらず、すべての法人事業所が強制適用となります

社長1人だけの会社であっても加入義務があります

個人事業所の場合

常時5人以上の従業員を雇用している場合、強制適用となります(※飲食業やサービス業、農林漁業などの一部業種を除きます)。

💡 2026年の最新トレンド これまではパートやアルバイトなどの短時間労働者が社会保険に加入する際、「企業規模(従業員数)」や「賃金(月額8.8万円以上)」の壁がありました。

しかし、近年の法改正により「賃金要件」の撤廃企業規模要件の段階的な撤廃(最終的に1人以上の企業まで拡大)が進んでいます。

今後は会社の規模に関係なく、週20時間以上働く多くの人が厚生年金の対象となっていきます。

70歳以降はどうなる?「高齢任意加入」のルール

厚生年金保険の被保険者になれるのは、原則として「70歳未満」の人です。

では、70歳を迎えたら必ず終わりなのでしょうか?

原則として70歳に達すると被保険者資格を喪失しますが、「老齢給付の受給資格期間(10年)」を満たしていない人に限っては、その期間を満たすまで70歳以降も厚生年金に任意加入することができます(高齢任意加入被保険者)。

ここでポイントとなるのが、「保険料の負担割合」です。

事業主の同意がある場合: 通常通り、保険料は事業主と従業員で半分ずつ負担(労使折半)します。

事業主の同意がない場合: 従業員が全額自己負担しなければなりませんが、同意がなくても本人の申し出により加入すること自体は可能です。

「70歳以降は必ず会社が半分負担してくれる」わけではないので注意が必要です。

退職した月の保険料は?カギを握る「翌日喪失」

退職した月の保険料を巡るルールは、少しややこしく感じられる部分です。

これを解くカギは、「資格喪失日は、退職した日の翌日になる」という大原則にあります

そして厚生年金保険料は、「資格喪失日が属する月の【前月】まで」徴収されるルールになっています。

もっとも分かりやすい「月末退職」のケースを例に見てみましょう。

5月31日(月末)に退職した場合:

資格喪失日は翌日の「6月1日」になります。

そのため、喪失日の前月である「5月分まで」の保険料が発生します。

つまり、退職した月も厚生年金の加入期間に含まれ、保険料が給与から引かれることになります。

5月30日(月中)に退職した場合:

資格喪失日は「5月31日」になります。

そのため、喪失日の前月である「4月分まで」の保険料しか発生せず、5月分はかかりません。

理解度チェック!4択クイズ

ここまで学んだ知識をもとに、以下の問題にチャレンジしてみましょう!

【問題】

厚生年金保険の被保険者に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 従業員5人以下の法人は、厚生年金保険の加入は任意である。
  2. 70歳に達すると厚生年金保険から脱退となるが、老齢給付の受給資格期間を満たしていない場合は、受給資格期間を満たすまで厚生年金保険に任意加入でき、事業主が保険料の半額を負担する必要がある。
  3. 厚生年金保険の適用事業所以外で働く70歳未満のものは、厚生労働大臣の認可を受ければ個人で厚生年金保険の被保険者となれるが、その際の保険料は全額自己負担しなければならない。
  4. 月末に退職すると、退職した月まで厚生年金の被保険者となり、退職月は厚生年金保険の加入期間となる。

【解答・解説】

正解:4

選択肢1:×

法人は従業員数に関わらず「すべて強制適用」です。

5人以下で任意となるのは個人事業所の一部業種です。

選択肢2:×

70歳以降の任意加入で事業主が半額を負担するのは「事業主の同意がある場合」のみです。

同意がない場合は全額自己負担となります。

選択肢3:×

適用事業所以外で働く人が個人で加入する(任意単独被保険者)には、厚生労働大臣の認可だけでなく「事業主の同意」が必要です。

また、事業主の同意が得られない場合に限り全額自己負担となります。

選択肢4:○

これが適切です!

月末退職の場合、資格喪失日は翌月1日になるため、退職した月まで被保険者期間となり、保険料が発生します

まとめ

厚生年金の被保険者に関するルールは、以下の3点を意識するとすっきりと整理できます。

  1. 法人は人数に関わらず一発で強制加入!(今後は短時間労働者への適用もさらに拡大)
  2. 70歳以降の任意加入は、事業主の同意がなければ保険料は全額自己負担!
  3. 退職は「翌日喪失」!月末退職ならその月までしっかりカウント!

基本の仕組みをシンプルに捉えておけば、実務や手続きの際にも迷わなくなります。

最新の法改正の動きも意識しながら、正しい知識を身につけていきましょう!

それでは、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

金融・不動産・年金・リスク管理分野を専門とし、FP技能士1級、宅地建物取引士、管理業務主任者、貸金業務取扱主任者など多数の国家資格・金融資格を保有。

銀行業務検定では財務・法務・税務・年金・融資管理・金融リスクマネジメント等に合格し、近年はDX、生成AI、サイバーセキュリティ、サステナビリティ領域にも知見を広げている。

「難しい制度を、誰でも理解できる言葉で伝える」をテーマに、資産防衛・老後対策・金融リテラシー向上に関する情報発信を行っている。

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