債券の利回りとは?アンダーパー・パー・オーバーパーと最終利回り・直接利回りの違いを解説

債券投資を勉強すると必ず登場するのが、「アンダーパー」「パー」「オーバーパー」という言葉です。

さらに、

「表面利率と利回りは何が違うの?」

「100円より安く買った債券は、なぜ最終利回りが高くなるの?」

「オーバーパーで買ったら利回りはどうなる?」

といった疑問も出てきます。

債券の利回り問題は計算式だけを暗記すると混乱しやすいのですが、**「いくらで買って、毎年いくら利息を受け取り、最後にいくら戻ってくるのか」**というお金の流れで考えると理解しやすくなります。

今回は、固定利付債券の利回りに関する問題を題材に、表面利率・直接利回り・最終利回りの違いをわかりやすく解説します。


目次

固定利付債券の利回り

固定利付債券の利回り(単利)に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、いずれもパー発行されたものとする。

(a)アンダーパーの債券は、最終利回りが直接利回りよりも高くなる。

(b)パーの債券は、最終利回り、直接利回りおよび表面利率が等しくなる。

(c)オーバーパーの債券は、最終利回りが表面利率よりも高くなる。

選択肢

  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解は

最初に結論を整理すると、

記述判定
⒜ アンダーパー
⒝ パー
⒞ オーバーパー×

適切な記述は2つあります。

したがって、

正解は「2)2つ」

です。

この問題を理解するためには、まず「パー」という言葉から確認しておきましょう。


そもそも「パー」とは?

債券には額面金額があります。

例えば、

額面100円

の債券を考えてみましょう。

満期まで保有すると、原則として額面である100円が償還されます。

この100円を基準に、市場でいくらで取引されているかによって3つに分けられます。

状態価格意味
アンダーパー100円未満額面より安い
パー100円額面と同じ
オーバーパー100円超額面より高い

例えば、

98円 → アンダーパー

100円 → パー

102円 → オーバーパー

です。

この違いが、債券の利回りに大きく影響します。


表面利率とは?

まず「表面利率」を理解しましょう。

表面利率(クーポンレート)は、債券の額面金額に対して毎年いくらの利息が支払われるかを示します。

例えば、

  • 額面100円
  • 表面利率2%

の債券なら、年間利息は、

100円×2%=2円

です。

ここで重要なのは、債券の市場価格が98円になっても102円になっても、固定利付債券なら年間利息は基本的に2円のままだということです。


直接利回りとは?

直接利回りは、

購入価格に対して年間の利息収入がどのくらいあるか

を見る指標です。

計算式は、

直接利回り(%)=年間利息÷購入価格×100

となります。

先ほどの年間利息2円の債券を98円で購入した場合、

2円÷98円×100≒2.04%

です。

表面利率は2%ですが、98円という安い価格で購入しているため、直接利回りは2%より高くなります。


最終利回りとは?

最終利回りは、すでに発行されている債券を購入し、満期まで保有した場合の利回りを表します。

単利による代表的な計算式は、

最終利回り(%)
={年間利息+(額面-購入価格)÷残存年数}÷購入価格×100

です。

つまり、

毎年受け取る利息

だけでなく、

購入価格と償還価格の差

まで考えるのがポイントです。

ここを理解すると今回の問題はかなり簡単になります。


⒜は適切|アンダーパーでは最終利回り>直接利回り

⒜は適切です。

アンダーパーとは、額面より安い価格で債券を購入することです。

例えば、

  • 額面100円
  • 購入価格98円
  • 表面利率2%
  • 年間利息2円
  • 残存期間5年

として考えてみましょう。

直接利回り

2÷98×100≒2.04%

です。

一方、満期まで保有すると、98円で買った債券が100円で償還されます。

つまり、

100円-98円=2円

の償還差益が発生します。

5年間なら、単純化すると1年当たり、

2円÷5年=0.4円

です。

したがって最終利回りは、

(2円+0.4円)÷98円×100≒2.45%

となります。

比較すると、

表面利率 2.00%

直接利回り 約2.04%

最終利回り 約2.45%

です。

したがって、

最終利回り>直接利回り

となり、⒜は適切です。


なぜアンダーパーでは最終利回りが高くなる?

理由は非常にシンプルです。

98円で買って、満期に100円が戻ってくるからです。

つまり、

毎年の利息+償還差益

を受け取れることになります。

直接利回りは毎年の利息だけを見ます。

一方、最終利回りは償還差益まで考えます。

そのため、

アンダーパー
→ 償還差益が発生
→ 最終利回りが上昇

という関係になります。


⒝は適切|パーなら3つの利率が一致する

⒝も適切です。

パーとは、

額面=購入価格

となっている状態です。

例えば、

  • 額面100円
  • 購入価格100円
  • 表面利率2%
  • 年間利息2円

なら、直接利回りは、

2円÷100円×100=2%

です。

さらに満期になっても、

100円で購入→100円で償還

なので、償還差益も償還差損もありません。

したがって最終利回りも2%になります。

つまり、

表面利率=直接利回り=最終利回り

です。

これは非常に重要な関係なので、そのまま覚えておきましょう。


⒞は不適切|オーバーパーでは最終利回りが低くなる

⒞は不適切です。

オーバーパーとは、額面より高い価格で債券を購入することです。

例えば、

  • 額面100円
  • 購入価格102円
  • 表面利率2%
  • 年間利息2円
  • 残存期間5年

としましょう。

満期になると100円で償還されます。

つまり、

102円で購入

100円で償還

されるので、

2円の償還差損

が発生します。


オーバーパーの最終利回りを計算してみよう

まず直接利回りは、

2円÷102円×100≒1.96%

です。

次に最終利回りを計算します。

償還差損2円を5年間で考えると、

(100円-102円)÷5年=-0.4円

です。

したがって、

(2円-0.4円)÷102円×100≒1.57%

となります。

比較すると、

表面利率 2.00%

直接利回り 約1.96%

最終利回り 約1.57%

です。

つまり、

最終利回り<直接利回り<表面利率

となります。

問題文は「最終利回りが表面利率より高くなる」としていますので、逆です。

したがって⒞は不適切となります。


アンダーパー・パー・オーバーパーを一気に覚える方法

今回の問題で最も重要なのは、3つの関係を整理することです。

アンダーパー

額面より安く買う

満期に額面で戻る

償還差益が出る

したがって、

最終利回り > 直接利回り > 表面利率


パー

額面と同じ価格で買う

償還差益・差損なし

したがって、

最終利回り = 直接利回り = 表面利率


オーバーパー

額面より高く買う

満期は額面で戻る

償還差損が出る

したがって、

最終利回り < 直接利回り < 表面利率


3つの関係を表で整理

試験前には、次の表を覚えてしまうと便利です。

債券価格状態償還時利回りの関係
100円未満アンダーパー償還差益最終 > 直接 > 表面
100円パー差益・差損なし最終 = 直接 = 表面
100円超オーバーパー償還差損最終 < 直接 < 表面

この表を理解していれば、今回のような問題は計算しなくても解けます。


債券価格と利回りは反対方向に動く

もう一つ、実際の債券投資でも重要なのが、

債券価格と利回りは逆方向に動く

という基本原則です。

市場金利が上昇すると、新しく発行される債券の利率が魅力的になります。

すると、以前発行された低い利率の債券は魅力が低下するため、その価格が下落しやすくなります。

反対に市場金利が低下すると、以前発行された高い利率の債券の魅力が高まり、価格が上昇しやすくなります。

つまり、

金利上昇 → 債券価格下落

金利低下 → 債券価格上昇

という関係があります。

信用金庫や銀行などが保有する債券に金利上昇局面で評価損が発生するのも、この仕組みが大きく関係しています。


まとめ|「安く買えば差益、高く買えば差損」で考えよう

今回の問題では、

⒜ ○

アンダーパーなら償還差益が発生するため、

最終利回り>直接利回り

となります。

⒝ ○

パーなら購入価格と償還価格が同じなので、

最終利回り=直接利回り=表面利率

となります。

⒞ ×

オーバーパーでは償還差損が発生するため、

最終利回り<表面利率

となります。

したがって適切な記述は2つです。

覚え方

試験直前には、次の3行を覚えておきましょう。

アンダーパー:最終 > 直接 > 表面

パー:最終 = 直接 = 表面

オーバーパー:最終 < 直接 < 表面

計算式だけで覚えるより、

「100円より安く買えば、100円で戻ってくると得」

「100円より高く買えば、100円で戻ってくると損」

と考えると、利回りの大小関係を忘れにくくなります。

それでは、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

金融・不動産・年金・リスク管理分野を専門とし、FP技能士1級、宅地建物取引士、管理業務主任者、貸金業務取扱主任者など多数の国家資格・金融資格を保有。

銀行業務検定では財務・法務・税務・年金・融資管理・金融リスクマネジメント等に合格し、近年はDX、生成AI、サイバーセキュリティ、サステナビリティ領域にも知見を広げている。

「難しい制度を、誰でも理解できる言葉で伝える」をテーマに、資産防衛・老後対策・金融リテラシー向上に関する情報発信を行っている。

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