スーパーゼネコン大手・清水建設の経営トップを務める新村達也代表取締役社長。
建設業界が資材高騰や人手不足といった構造的課題に直面するなか、彼の采配と経営哲学に熱い視線が注がれています。
清水建設の経営を語るうえで欠かせないのが、社是の根幹をなす『論語と算盤』の教えです。
道徳や倫理を示す「論語」と、経済活動や利益追求を示す「算盤」。
一見すると対立するように見えるこの2つを高い次元で両立させる「倫理経営」は、どのように現代の業績向上へ結びついているのでしょうか。
新村達也社長が描く経営の舵取りと、清水建設が誇る『論語と算盤』のロジックを詳しく紐解きます。
1804年創業の伝統——清水建設の社是『論語と算盤』とは?

清水建設の歴史は、1804(文化元)年に大工の棟梁・清水喜助が江戸・神田で創業したことに始まります。
創業以来、時代の変遷を経ても脈々と受け継がれてきたのが、日本の日本資本主義の父・渋沢栄一にも縁の深い『論語と算盤』の精神です。
- 論語(道徳・倫理): 誠実なものづくり、社会への貢献、コンプライアンスの遵守
- 算盤(経済・業績): 確実な収益化、技術革新によるコスト適正化、持続可能な事業成長
「正しい道(論語)を進まなければ、得られた利益(算盤)は長続きしない。
しかし、適切な利益が出なければ、社会に貢献し続けることはできない」という思想が、同社のすべての意思決定のベースになっています。
新村達也社長のキャリアと「現場主義」の経営観
早稲田大学理工学部建築学科を卒業後、1984年に清水建設に入社した新村達也氏。
1年目から海外現場へ配属されるなど、現場の第一線で培った豊富な経験と高いコミュニケーション力を持ち味としてキャリアを重ねてきました。
東京支店長や建築総本部長といった要職を歴任し、2025年に代表取締役社長へ就任。
彼が重視するのは、「現場の声を拾い上げ、信頼されるものづくりを愚直に貫くこと」です。
現場での信頼関係構築(論語)こそが、施工のクオリティ向上と工期管理を正確にし、結果的に施工採算の改善(算盤)を生むという実務観を持っています。
『論語と算盤』を「実際の業績」へ直結させる3つのロジック
企業理念や道徳論は、ともすれば「きれいごと」で終わってしまいがちです。
しかし、清水建設においては『論語と算盤』がダイレクトに業績回復・拡大へ寄与するシステムとして機能しています。
① 品質管理の徹底による「手戻り防止・採算性の改善」
「お客様に誠実な建物を届ける」という論語の姿勢は、施工管理や安全対策の徹底に現れます。
手抜き工事や後からの欠陥補修(手戻り)を防ぐことは、長期的には巨額の補修コストを抑え、プロジェクトごとの利益率を最大化させる「算盤」の利点に直結します。
② 発注者・パートナー企業からの「信頼獲得とリピート受注」
ゼネコンの業績を安定させる最大の要因は、リピート顧客です。
「清水建設に任せれば間違いない」という業界内での高い倫理的信用は、競合との相見積もりや価格競争に巻き込まれにくい強固な受注基盤を構築します。
③ DX(デジタルトランスフォーメーション)と「ものづくり」の融合
新村体制のもとで進む現場のデジタル化やスマートシティ推進は、単なる効率化ではありません。
「現場で働く労働者の負担を軽減し、より安全な環境を作る(論語)」目的と、「施工スピードと生産性を高め、収益性を向上させる(算盤)」目的が一体となった先進的な取り組みです。
時代の波を乗り越える清水建設の「倫理経営」の強み
近年、採算性の悪化や建設資材の高騰などから業界全体が厳しい局面を迎えた場面でも、清水建設は採算性の見直しと厳格なリスク管理を実行してきました。
短期的な売上拡大に走って不採算案件を抱え込むのではなく、「適切なリスクを取り、適正な対価を得る」という『論語と算盤』の原点に立ち返った経営方針が、 V字回復と確実な業績拡大を実現するエンジンとなっています。
誠実な仕事が次の受注を生み、健全な利益が次の技術開発や人材投資へと回る——この「倫理と利益の好循環」こそが、同社の強みなのです。
まとめ:新村達也社長が示すスーパーゼネコンの未来像
新村達也代表取締役社長率いる清水建設は、200年以上の歴史で培われた『論語と算盤』というDNAを現代版にアップデートしながら、新しい時代の建設業を牽引しています。
- 「論語」の教えによる、ブレない倫理観と現場での高い信頼
- 「算盤」の視点による、デジタル技術を活用した高収益体質の確立
この2つを高い次元で合致させる新村社長のリーダーシップは、単なる企業の業績伸ばしにとどまらず、これからの日本企業のあり方を示す重要なモデルケースと言えるでしょう。
清水建設が踏み出す次の一手が、建設業界全体にどのような好影響を与えるのか、今後の展開から目が離せません。
それでは、ありがとうございました!

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